民謡は誰が残すのか — NHKの録音、県の調査、江差の保存会
民謡を残してきたのは誰なのか。町田佳聲とNHKの『日本民謡大観』、文化庁の補助で全国を回った民謡緊急調査、江差追分や伊勢音頭の保存会と「正調」、山梨県の405件の現況調査、録音の権利までを資料でたどり、記録と変化のあいだにある民謡継承の今を確かめます。
COLUMN
音楽の仕事の頼み方・業界ノウハウ・インタビューなど、Music Chronicle 編集部がお届けする読みものです。
民謡を残してきたのは誰なのか。町田佳聲とNHKの『日本民謡大観』、文化庁の補助で全国を回った民謡緊急調査、江差追分や伊勢音頭の保存会と「正調」、山梨県の405件の現況調査、録音の権利までを資料でたどり、記録と変化のあいだにある民謡継承の今を確かめます。
ガムランの音律スレンドロとペロッグは、楽団ごとに音の高さが違い、オクターブもぴったり2倍ではありません。バリでは対の楽器をわずかにずらし、毎秒6〜10回のうなり(オンバック)を作ります。エリスの測定、49組を測ったトスの記録、日本の大学による計測をもとに、一揃いで調律する音律の仕組みを整理します。
雅楽の管絃は笙・篳篥・龍笛が各3人、箏と琵琶が各2人、打楽器3人の16人編成で、指揮者を置きません。宮内庁楽部の解説、事典の記述、伶楽舎の協力でまとめられた解説サイトをもとに、雅楽寮から楽部までの歴史、左方と右方、笙の合竹、十二律と六調子、拍子の数え方までを整理します。
輪になって歌うウポポ、少しずつずれて重なる輪唱、竹の口琴ムックリ、樺太の五弦琴トンコリ、拍子棒で語るユカㇻ。アイヌの音楽を、文化庁の指定解説、博物館の研究紀要、ピウスツキの蝋管を再生した工学の記録、NHKの総合調査からたどり、法律が「音楽、舞踊」と名指しした文化が今どう継がれているのかを確かめます。
沖縄の三線は、なぜ「棹こそ命」と言われるのか。蛇皮の胴と3本の弦の構造、14世紀末とされる伝来、冊封使を迎えた王府の歌三線と組踊、手の位置を記す楽譜・工工四、名器「開鐘」と7つの型、戦後の缶カラ三線、年2万丁が流通する現在の産地までを、辞典と博物館の調査報告からたどります。
なぜピアノのドミソは少しだけ濁っているのか。『呂氏春秋』の三分損益法とピタゴラス音律、ザルリーノの純正律、アーロンの中全音律、ヴェルクマイスターとバッハの「よく調律された」鍵盤、朱載堉が24桁で求めた2の12乗根までを一次資料でたどり、制作現場での音律の扱いも整理します。
第1と第2ヴァイオリンを隣に並べるか、左右に分けるか。オーケストラの配置は伝統のように見えて、時代とホールと指揮者の判断で何度も変わってきました。1752年のクヴァンツの配置指示、ストコフスキーの改革、楽器の指向性の測定、囲み型ホールの登場までを一次資料からたどります。
片面4分のSP盤に交響曲を分けて刻んだ時代から、マイクロフォンの電気録音、磁気テープとLP、ステレオの特許、グールドの「継ぎはぎ」論、PCM録音とCD、作品名で探す配信までを、議会図書館やカナダ国立図書館などの一次資料からたどり、録音がクラシックの聴き方をどう変えたかを整理します。
チューナーの初期値でおなじみの「A=440Hz」は、自然界で決まった値ではなく、会議と放送技術がまとめた約束です。1834年のシュトゥットガルト、1859年のパリの435Hz、イギリスの439Hz、1939年のロンドン会議、ISO 16 までを一次資料でたどり、いまの442Hzや415Hzの事情も整理します。
指揮者は音を出さないのに、なぜオーケストラの前に立つのか。リュリの杖、1820年のシュポーアの指揮棒、ベルリオーズが書いた拍の図形、ワーグナーのテンポ論、奏者が棒のどこを見ているかを測った実験、指揮者を置かない楽団までを一次資料からたどり、指揮者の仕事を分解します。
シンセサイザーは「電気で音を作る」発想から120年以上かけて形を変えてきました。200トンのテルハーモニウム、手をかざすテルミン、紙テープで動くRCAの装置、電圧で操るモーグのモジュール、FM音源とDX7、楽器をつなぐMIDIまで、特許・論文・公式資料からたどります。
ドラムのチューニングは、膜の張力・質量・直径の関係を整える作業です。円形の膜の倍音が整数倍にならない理由、ティンパニとタブラが音程を得た仕組み、打面と裏面が胴の空気でつながる現象、ボルトを対角に締める理由、皮からフィルムへのヘッドの歴史までを一次資料からたどります。
ギターの表板にスプルース、裏板にローズウッド。木材と音色の関係は語られることが多い一方、実験で確かめると話はもっと複雑です。米農務省の木材物性表、裏板だけを変えた6本の盲検実験、エレキギターの減衰の研究、ワシントン条約の規制までを、一次資料から読み解きます。
ピアノの鍵盤を押してから弦が鳴るまでには、数千分の1秒単位の出来事が連なっています。クリストフォリのエスケープメント、ウィーン式とイギリス式の分岐、エラールのダブルエスケープメント、打弦の計測値、タッチで音色は変わるかという論争、整調の仕事までを、博物館資料と音響学の論文から読み解きます。
尺八は五つの孔しかない竹の筒なのに、息のかすれから深い低音、半音より細かい揺れまでを出せます。斜めに削った歌口で起きる空気の振動、顎の角度で音を曲げるメリ・カリ、押さえると音が上がる音律異常、地無しと地塗りの違いを、辞典と音響学の論文から読み解きます。
和太鼓は、革を鋲で留めるか紐で締めるか、胴をくりぬくか板で組むかで音が変わります。長胴太鼓・締太鼓・桶胴太鼓・楽太鼓から高さ6.5mの鼉太鼓までの構造と用途、二枚の革と胴の空気がつくる響きの物理、組太鼓の成立までを辞典と音響学の論文から読み解きます。
箏は13本の糸の太さも張りもほぼ同じで、音の高さは動く柱の位置だけで決まります。八橋検校の平調子から雲井・中空・古今調子への変化、4度・5度・オクターブで合わせる伝統の手順、ピアノより狭い半音、押し手に要る力、絹糸と化学繊維の違いまで、辞典と音響研究から読み解きます。
三味線のビーンという響きは、どこから生まれるのか。天神から棹、胴、皮、駒、撥まで部位ごとに構造と素材を整理し、一の糸だけに仕込まれた「さわり」の仕組み、皮と胴が音に果たす役割を音響研究から読み解きます。象牙・べっ甲・皮という素材のいまにも触れます。
録音やライブで演奏者が聴く「クリック」は、いつ生まれ、機械と人をどう同じ時間に乗せているのか。19世紀のメトロノーム特許、映画音楽のフレーム計算、MIDI クロックやタイムコード、タッピング研究が示す人間のずれ方まで、一次資料をもとに整理し、依頼時に決めておくことをまとめます。
耳は2つしかないのに、なぜ音が上や後ろから聞こえるのか。両耳の時間差と音量差、耳たぶが作る周波数の手がかり(HRTF)から、22.2ch・Dolby Atmos・Ambisonics の違い、ヘッドホン再生の仕組み、ミックスを依頼するときの確認点までを、論文と規格をもとに整理します。